ここ最近、ネット上の「なりすまし」が問題になっている。
昨今、Metaが運営するFacebookやInstagram上において、前澤友作氏や堀江貴文氏、孫正義氏や森永卓郎氏になりすまして投資銘柄を教えるといった詐欺広告が相次いで表示されている。
この記事について
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2024年5月4日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
実際に騙された被害なども発覚。総務省や政府なども問題視するようになってきた。
Metaは声明文を発表しているが、詐欺広告について「インターネットを通じて世界中の人々を標的とする社会全体の脅威」と指摘。一方で、「世界中の膨大な数の広告を審査することには課題も伴う」として、詐欺広告の根絶していくには「社会全体のアプローチ」が重要だと強調した。
ただ、この「言い訳」に対しては、多くの人から反発を招いている。
実際、前澤氏は「なめてんの?」と露骨に不快感をあらわにしているほどだ。
Metaでは日本語や日本の文化的背景を理解できる広告審査チェックを行っているというが、全く機能しているとは思えない。これだけ社会問題になっているにも関わらず、詐欺広告は減少するばかりか日に日に増えている印象だ。
Meta側で広告審査のチェック機能が働いていないのであれば、もっとユーザーが広告を拒否し、広告出向元をBanできるような仕組みを導入すべきではないか。
現在も広告にあるサブメニューから広告を非表示にしたり、問題点を報告できるようになっているが、操作が面倒くさい。広告表示の横にBadボタンを設け、明らかに詐欺広告だとわかるものをユーザーが拒否し、多くのユーザーからの報告が上がってきたら、広告主のアカウントをBanできるぐらいの仕組みが必要ではないか。
MetaはAIの開発に熱心なのだから、健全な広告が表示されるようにAIを活用していくべきだ。
投資詐欺広告に起用される著名人なんて数十人程度なのだから、名前と顔なんてAIがすぐに学習できるだろうし、広告コピーとの組み合わせで「これは詐欺広告ではないか」という判断ぐらい、いまのAIであれば簡単にできるのではないか。
これだけ、ユーザーの生活に溶け込んでいる巨大なSNSを提供しているのだから、もっと社会的な責任をMetaは果たすべきだろう。
ここ最近、インターネットを使っていて感じるのが「昔のiモードは良かったなぁ」ということだ。
iモードでは「公式サイト」というNTTドコモが審査したコンテンツプロバイダーがメニュー一覧に並んでいた。それらはサービスを提供する企業やコンテンツの中身などがしっかりと審査されており、NTTドコモがお墨付きをつけていたので、ユーザーは安心して利用できていた。
1999年のサービス開始当初から、多くの銀行が参加し「オンラインバンキング」を提供していたが、お金のやり取りであっても「公式サイトだから安全」とユーザーはこぞって残高照会や振込などをおこなっていた。
また有料のコンテンツは、NTTドコモが課金を行い、電話料金と一緒に回収していたので、ユーザーも安心だし、コンテンツプロバイダーも利益を上げやすかった。
ただ、一方で公式サイトに入れないコンテンツプロバイダーからは「審査の基準が不明」とか「審査に時間がかかる」とか、NTTドコモに対して不満の声が上がっていた。
しかし、一方で、公式サイトに入れなくても、「勝手サイト」として、自由にiモード向けサイトを作れるような環境は存在した。公式サイトの一覧には入れず、課金回収代行もしてもらえないが、とりあえず、独自にiモード向けにサービスを提供できる「道」は存在したのだ。
いまのインターネットは「勝手サイト」しかなく、提供する企業はちゃんとした会社なのか、ユーザーの個人情報はしっかりと管理してくれるかといった精査は自分でやらなくてはならない。
現代に、インターネット上で、どこかの会社がしっかりとお墨付きを与えた「公式サイト」だけが集まるサイトがあったら、実に安心してサービスを使えて快適なんだろうなぁ、と思う。
自治体、銀行、証券、メディア、ネット通販など、安全性がしっかりと確保され、フェイクニュースや詐欺まがいの商品などが一切ないサービスだけが集まった、閉じた世界の「公式サイト集」があれば、どんなに安心できるだろうか。
今のインターネットで魅力とも言える「自由度」とか「危なっかしさ」などは皆無だが、とりあえず、そこにアクセスしておけば、データを抜かれる心配もないし、間違った情報にアクセスする心配もない。
SMSなど、特殊詐欺を行うサイトへのリンクが載ったメッセージが飛んでくることがあるが、「公式サイトではない」という判断基準があれば、身を守ることができるのではないか。
そんな公式サイトをどの企業が作るのか、というアイデアまでは持ち合わせていないのだが、インターネットが普及して数十年になるなか、そろそろ「何も考えずに安心しして使えるネット環境」を誰か整備してくれないかと切に願う。
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