第74回さっぽろ雪まつりが開催中だ。コロナ禍で昨年まで規模を縮小していたが、4年ぶりに札幌の大通、すすきの、つどーむの3会場でのフル開催となった。
北海道を代表する冬の一大イベント復活に地元や国内外の観光客が多く訪れている。過去最多だった5年前の来場者数273万人を超えるかも注目される。
コロナ流行初期の4年前には会場での感染拡大が指摘された。今回から飲食ブースも復活したが、入念な感染症対策が大切だ。
一方で観光業界は人手不足が深刻である。バス運転手が足りずに中止されたツアーもあるといい、受け入れ態勢に懸念が残る。
11日までの期間中にトラブルや事故がなく、すべての人が楽しめるよう運営には万全を期したい。
雪まつりは2021、22年はオンラインのみ、昨年は2会場で規模を縮小した開催だった。
今回三つの会場に並ぶ雪像、氷像は計196基とコロナ禍前の規模に戻った。海外9チームが参加する国際雪像コンクールも再開し製作過程を見ることができた。
飲食ブースは感染対策のみならず、コロナ禍を経て「雪像を楽しむ」という原点回帰を図るため、以前の2割ほどの17店舗に減らした。この効果も見極めたい。
一方で免疫回避力が高いというコロナ新変異株「JN・1」などで感染第10波に入ったとの見方があり、インフルエンザとの同時流行が警戒される。店では「3密」を避けることが欠かせない。
会場での混雑も注意したい。雪に不慣れな客は多く、大きな荷物を抱える姿が目立つ。転倒や接触事故防止のため、誘導や休憩所の利用呼びかけを徹底したい。
心配なのは交通網の脆弱(ぜいじゃく)さだ。2年前の大雪で長期運休に陥ったJR北海道は、昨冬から除雪のため週末夜に計画運休している。
道内各地と札幌中心部を結ぶ高速バスや路線バスも運転手不足でここ数年減便が相次いでいる。
雪まつり開幕前日にはJRの除雪車不具合で函館線小樽―手稲間がほぼ運休となり、小樽駅で足止めされた客が高速バスやタクシーに殺到した。交通機関の連携と情報提供に関わる検証が必要だ。
人手不足は宿泊施設などでも指摘され、営業時間を短縮するレストランも少なくない。
道や札幌市はインバウンド(訪日客)増加を目指すが、イベント開催や観光スポット発掘だけでなく、それらを支える人材や公共交通の確保こそが重要である。
からの記事と詳細 ( <社説>雪まつり復活 安全な運営 徹底したい:北海道新聞デジタル - 北海道新聞 )
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