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Sunday, November 19, 2023

「安全な場所ない」ガザから逃れた人々 水も食料もなく 進まぬ物資 ... - 産経ニュース

検問所から出てきた直後にガザの厳しい状況を語るハリル・マナさん(左)とナビーラさん夫妻=19日、エジプト北東部のラファ検問所(佐藤貴生撮影)

パレスチナ自治区ガザ南部とエジプト北東部の境界にあるラファ検問所で、ガザの戦火を逃れてエジプト側に出域した人々から安堵(あんど)の声が漏れている。イスラエル軍とイスラム原理主義組織ハマスの大規模戦闘が始まって40日超。戦いが収束する気配はなく、検問所近くの病院ではガザから来た負傷者が治療を受け、空港には支援物資を積んだ世界各国の航空機が到着していた。

19日、エジプト政府主催の報道陣向けツアーに参加し、ガザに隣接するラファ周辺の様子を視察した。早朝に首都カイロを出発したバスは紅海の下を通るトンネルでシナイ半島にわたり、昼前にラファ近郊に到着した。

ラファ検問所のゲート脇ではエジプト軍が警戒し、10台以上の救急車が待機するなか、燃料を積んだトレーラーなどが検問所を出入りしていた。

検問所の前に支援物資を積んだトラック数十台が列をなし、ガザへの入域を待っていた。「イスラエル軍の検査に長時間かかりすぎる」。エジプト赤新月社のアミシュさん(27)がじりじりした様子で話した。イスラエルは物資に混じって武器などが運ばれ、ハマスの手に渡るのを警戒している。

ガザからエジプトに出ることが認められているのは外国旅券の保有者と治療を要する負傷者だ。この日、検問所から出てきたカナダ在住のハリル・マナさん(71)は9月末、妻のナビーラさん(60)と体調を崩した義母の様子を見にきて戦闘に遭遇し、ガザに閉じ込められた。

ガザに燃料を搬入するトレーラー=19日、エジプト北東部のラファ検問所(佐藤貴生撮影)

「市場には戦闘開始後、何も並んでいない。毎日、少量の水と2、3個のデーツ(ナツメヤシの実)だけで過ごした」というマナさんらは、イスラエル軍の指示で北部のガザ市から南部に退避した。燃料不足で車も動かず、みな歩いて移動していた。移動先の南部もも爆撃され、「安全な場所などなかった」という。「親類がまだガザにおり、自分たちだけ出るのは申し訳ない」と肩を落とした。

ガザで生まれ、第3次中東戦争(1967年)を機に外国に移住したマナさんは「イスラエルとは平和に暮らしたい。が、住む土地を奪われたらそれもできない。パレスチナ人は土地を取り返すため何世代も戦いを挑むだろう」と話した。

ラファから約45キロ離れたエルアリーシュの病院で会ったエジプト保健省のマハディ局長(42)によると、同院にはガザから来た80人以上の患者が入院している。4割以上が子供だという。負傷部位の切断など90件近い手術を実施した。回復した患者はガザに送り返すのかと聞くと、「私にそれを判断する責任はない」と明言を避けた。

ガザの負傷者の治療について取材に応じるエジプト保健省のマハディ局長=エジプト北東部のエルアリーシュ(佐藤貴生撮影)

イスラエル軍が激しく攻撃したガザ北部のシーファ病院からは19日、新生児31人が国連などによりラファ検問所近くの病院に移された。マハディ氏は情勢を見つつ、近くエジプトに出域させると見通しを述べた。

エルアリーシュの空港には、サウジアラビアやクウェート、カタールなどの支援物資を積んだ輸送機5機が止まっていた。救急車や発電機、食料や毛布などを運んできたというクウェートのチャリティー財団のアルシャイジさん(62)は「パレスチナの人々は兄弟だ。イスラエル軍は民間人や子供を殺害している。正当とはいえない」と批判した。

エジプト北東部エルアリーシュの空港には、ガザの住民のために支援物資を積んだ世界各国の航空機が到着している=19日(佐藤貴生撮影)

エジプト政府によると、ガザから受け入れた外国旅券保有者は6千人以上、負傷者は230人超に上る。2千トン以上の医療関連物資、4千トン以上の食料、46トンの燃料をガザに搬入した。(エジプト北東部ラファ 佐藤貴生)

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