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Wednesday, June 7, 2023

首都直下地震でも安心の寝室とは?井田香菜子アナが体験した - nhk.or.jp

 「突っ張るしか、頭にありませんでした」

今回のロケを終えて、私の口から出た素直な感想です。私たちが長い時間を過ごす寝室で大きな揺れに見舞われたら。
今回の「#防災やってみた」では、安全な寝室を作る、というシンプルだけど難しいテーマにリアルな部屋で向き合いました。目からウロコの発見の数々を、みなさんと共有します。
(アナウンサー 小西政親・井田香菜子)

「寝室を地震後10分間安全に過ごせる空間に」

何も知らされていない私が案内されたのは、閑静な住宅街にある古い住宅。
玄関のドアを開けるや否や、今回の“仕掛け人”小西アナが登場。

小西アナ

今日一日は、この場所は井田さんの自宅です。

「なんか、いい家ですね」と喜びもつかの間、「ただしここは地震が起きたときに安全かどうかは分かりません。そこで、首都直下地震などの大地震が発生。その発生直後10分間を安全に過ごせる家にしてください」とのミッションが言い渡されました。

そういって案内されたのは寝室です。一見整然としていてリスクは少なそうですが、よく見てみると、私の背丈以上の本棚が。ベッドに倒れてくると危険です。
見ているうちに徐々に「防災の目」が肥えてきて、ベッド脇の鏡台や、入り口に向かう途中の低い棚…
全てがリスクに見えてきました。

棚だけでなく、電気スタンドや枕元の置物なども危険だと感じました。

では、どうすれば安全な部屋にできるのか…。私はひらめきました。

「危ないものは全部突っ張ってしまえばいい!」

転倒を防止するための「突っ張り棒(ポール式器具)」です。突っ張り棒に必要な、いたるところの長さをとにかく測り…頭の中では完璧な“安全ルーム”ができていました。

目からウロコ(1) 実はいろいろ防災グッズ

完璧な寝室のため、買い出しにホームセンターに向かった私。
防災グッズ売り場にたどり着くと、突っ張り棒だけで2~​​​​​​3種類。ほかにも、棚などの転倒を防ぐシートや、役に立ちそうな防災グッズがたくさん並んでいました。

目からウロコ情報(1) 実はいろいろ防災グッズ
売り場に行ってみると思っていた以上に様々な種類のものがあります。部屋の形状や、固定したい家具に、よりフィットよりするものがあるかもしれません。ホームセンターなどを訪れた際には、防災コーナーをチラッとでも見ておくことをおすすめします。

そこで、当初の予定を変更。棚の転倒防止には、突っ張り棒(ポール式器具)だけでなく、棚などの下に挟んで傾きをつけるタイプの「家具ストッパー」を購入。そのほかジェル状の転倒防止シール、ガラス飛散防止シートも購入しました。

意外と大変 防災グッズの装着

「これで完璧な防災ルームができる!楽勝じゃないか」と内心ほくそ笑んで“自宅”に戻った私。
しかし、パッケージを開くと、その気持ちは一気に暗転します。
というのも、突っ張り棒は、小物をひっかける単純なタイプとは違い、パイプに穴を空けてしっかりと固定するタイプ。そのため組み立てが必要でした。

説明書の類が苦手な私は、自分1人ではうまく組み立てることができず、仕掛け役の小西アナや、あろうことか撮影に来てくれているスタッフにまで手伝ってもらい、合計8個の突っ張り棒を組み立てました。

 

8個って、買いすぎでしょ。

突っ張り棒は必要な棚にすべて取り付けました。
たんすには突っ張り棒だけではちょっと…と思い、ホームセンターで見つけた「家具ストッパー」を下に挟み込んでみました。

さらに、背の低い家具には、「横突っ張り」を試してみました。

 

横突っ張り、生まれて初めて見た。

目からウロコ(2) 安全な部屋は家具の配置から

「できました!これで安心して過ごせます」

私が思い描いた通りの“防災ルーム”。完成したのは夕方になっていました。
若干の疲労と達成感を感じていた私の前に現れたのは、慶應義塾大学で防災を専門に研究している大木聖子さん。

実は、私が作業する様子を、別室で見守って下さっていたのです。

「見られていたなら無駄口叩かなかったのに~」という私にほほえみつつ、“防災ルーム”をジャッジして下さいました。

大木さん

寝ている時に安全になるように意識をするのはよかったと思います。その手段として突っ張るという方法を取られました。突っ張る以外の方法は思いつかなかったですか?

井出アナ

ほかに方法があったのか…。
はてなマークの私に、目からウロコ その(2)の瞬間が訪れます。

 

そもそも家具の配置を変えるという選択肢は…。

 

そう言って部屋の見取り図を取り出す大木さん。

 

もし、今移動ができるならどうしますか?

悩む私に見せてくれたのは、配置段階から考え抜かれた“真の防災ルーム”でした。

低い棚を移動させ、そこにベッドを。または、低い棚を移動させて、たんすと本棚を入れる。こうすることで、転倒の危険があるものからベッドを遠ざけることができるとのこと。
ガッテンです!

目からウロコ情報その(2) 安心して過ごせる部屋は家具の配置から
大木さん
「安全な部屋を作る方法の最初、0番目に配置を考えるということがあります。配置を考え、その上で、突っ張り棒をするということが大事になってきます」

また、突っ張り棒は次第に緩んでくるので定期的に締めるといいそうです。

目からウロコその(3) 大物は“合わせ技一本”で固定

お褒めの言葉もいただきました。

 

たんすは下をストッパーで止めつつ、上を突っ張るという方法をとっていただきましたが、実はこういう止め方がすごく安全なんです。

深い考えから取り付けたわけではなかったのですが、結果的によかったとのこと。さらに賃貸住宅にもオススメとのことでこちらも目からウロコです。

目からウロコ情報その(3)上と下からの合わせ技一本!
大木さん
「キッチンの冷蔵庫とか、本棚とか、タンスとか、大きなものを固定するときは、下にストッパーを入れ、上は突っ張り棒をするという、“合わせ技一本”がいいですね。両方をやると、金具で壁に打ちつけたのと同じ強度が出ます」

ちなみに、いいアイデアだと思った“横突っ張り”ですが、大木さんによると、「このタイプの背の低い棚は凶器になることは考えづらいので、無理に固定しなくても大丈夫」ということでした…。

目からウロコその(4) 写真を撮って客観視

防災のロケということもあり意識の高まっていた私ですが、日常の中に戻ってしまうと、せっかく高まった防災意識も薄れてしまいそう…。
そんな不安を漏らす私に先生が教えてくれたのが、“防災をイベント化”することでした。
例えば毎月1日など、家庭内で防災の日を決めて、家具の耐震化や耐震グッズの点検をするというのです。その時に役立つというのが、「写真を撮る」こと。

目からウロコ情報その(4) 部屋を写真に撮る
直接目で見る立体の情報に比べて平面なので、より部屋を客観視できるのだそうです。

たしかに、写真になると、クイズ番組に参加しているような気分で危険な箇所を探すことができそうです。
また、お子さんがいる家庭では、子どもに撮ってもらうと、違った視点からの危険が見えてくるのだとか。
少し取っつきにくい印象もぬぐえない「防災」ですが、部屋の写真を撮ることならできそうですよね。
最後に、この日、私の心に最も響いた先生からの言葉をご紹介しましょう。

慶應義塾大学 大木聖子准教授
「防災は時間もかかるし、お金もかかるし、労力もかかるし・・・起きるか起こらないか分からない地震のためにそんなことをやっていられないよっていう気持ちになるのが当たり前です。
そうではない価値を見いだすには、家族一緒にホームセンターに買いに行く日があってもいいのではとか、イベントとして、その日自体に価値を持たせて楽しみながらやってもらえればいいのではないかと思っています」

企画した小西アナウンサーより
「15年ほど前、阪神・淡路大震災のご遺族からうかがった話を今も胸に刻んでいます。大切な家族が倒壊した建物や家具による「圧死」で亡くなった。目の前にいる家族を自分の力で助けられなかったことが、今でも悔やまれる、というお話です。
日本では耐震技術が進歩し、建物は地震に強くなってきました。あとは私たちひとりひとりが家の中を安全にしておけば、命を守ることができる。井田アナウンサーの挑戦を通してノウハウをみなさんと共有したい!というのが今回の企画のねらいであり、願いです。

今回、大木准教授から学んだのは「地震発生後10分間を生き残れる家にする」という視点です。
大地震が起きても大きな物が落ちてこない、避難経路が安全に確保できている状態ならば、揺れがおさまったあとに落ち着いて次の行動を考えられる。対策には時間もお金もかかります。迷ったら、ぜひこの視点を思い出してください」

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