ロシアの軍事侵攻によりウクライナを脱出する人々の多くが目指すポーランドで、先にたどり着いた少女が、後からやってくる同胞たちをサポートしている。(クラクフ 三浦邦彦)
「安全なところに行けるから大丈夫。ウクライナに平和が戻れば、ちゃんと家に帰れますよ」
ポーランド南部の中心都市クラクフの中央駅。6日、ウクライナの首都キエフから避難してきた女性に、ソフィア・シルコさん(16)が優しく声をかけ、抱きしめた。
シルコさんはロシア軍の侵攻まで、ウクライナ西部イバノフランコフスクで暮らしていた。ヒップホップダンスが好きな普通の高校生。侵攻が始まった2月24日に学校は閉鎖され、友人たちは欧州各地へと逃れて行った。シルコさんは「こんなに一瞬で、日常が崩れてしまうとは思わなかった」と話す。
シルコさん自身も先月26日、総動員令で出国が制限された父(48)に送られ、母(45)と妹(8)の3人で古里を出た。車で西に向かったが、しばらくして大渋滞で動けなくなった。雪や雨が降る夜の闇の中を約10時間歩き、27日、ポーランド側の国境の町・ブドミエシュに着いた。今はクラクフに住む姉(24)の元に身を寄せている。
クラクフの中央駅は、欧州各地とを結ぶ国際列車が発着する。古里のイバノフランコフスクはポーランドとの交流が活発で、シルコさんは日常会話程度のポーランド語と英語ができた。「何か困っていることはありませんか?」。駅に集まる避難者に声をかけ、切符の購入を手助けし、つらかった身の上話を聞く。
駅では地元ポーランドや各国から来た大勢のボランティアも活動しているが、シルコさんが同じ避難者と聞くと、涙を流す人もいる。「大変な時だからこそ、自分のできることを精いっぱいしたい。そうすれば、私自身も嫌なことを忘れられるの」。まだ幼さも残るシルコさんの表情が引き締まる。
今、願うことは、ウクライナに平穏が戻り、古里の学校で友人たちと再会すること。その先のことを尋ねると、こう言った。「将来の夢はパイロット。もちろん戦闘機じゃなくて旅客機で。だって、戦争はもう嫌だから」
からの記事と詳細 ( 「安全なところに行ける…大丈夫」ポーランドに避難した少女、後から来るウクライナ人らを助ける - 読売新聞オンライン )
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