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Thursday, December 28, 2023

米国防総省、多国籍部隊で紅海の安全取り戻す-海運会社には疑念も - ブルームバーグ

米国防総省は国際海運の要衝である紅海やスエズ運河について、米主導の多国籍部隊の発足で安全な通航ができるようになりつつあると、海運会社を安心させようとしている。だが、イエメンの親イラン武装組織フーシ派による攻撃が止まる兆しは見えない。

  国防総省の中東・アフリカ担当報道官、ブライオン・マクガリー空軍中佐は28日、電子メールで問い合わせに回答し、同省は「業界とほぼ毎日意思疎通を図っており、ニーズを把握し、国際社会が安全な航行を支援しているという安心感をもたらしている」と説明した。

  ただ、今のところ、大半の海運会社は自社が関わる船舶を標的とした無人機やミサイルがこうした防衛網を突破することはないと信じるには至っていない。

  元海兵隊大佐で、現在はワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)のシニアアドバイザーを務める マーク・カンシアン氏は「荷主が安全だと感じるまで少し時間がかかる」と指摘。「米国と有志連合が安全な航路を維持できると分かれば、荷主は戻ってくるだろう。しかし、今はまだ確信が持てない」と話す。

荷主側は紅海の安全強化を求める

Source: Bloomberg

  カンシアン氏は取材に対し、一部の荷主は「相対的になおリスク回避的だろう。イスラエルとつながりのある荷主はより慎重かもしれない」と述べた。

  イランの支援を受けるフーシ派はパレスチナ人への支持を示すため、イスラエルと関係のある船舶を標的にしていると主張するが、実際にはイスラエルと直接関係を持たない船も対象になっている。

  新たな業界データによれば、紅海とスエズ運河を定期通航するコンテナ船フリートの半数が、攻撃を受ける恐れがあることから同航路を避けている。多くのタンカーやコンテナ船は遠回りで、よりコストがかかるアフリカ南端を通るルートを選択しており、石油やさまざまな消費財の価格上昇につながる可能性もある。

Less Traffic Through the Suez Canal

The daily number of tanker and cargo ship crossings has slipped this month

Source: IMF PortWatch, with Oxford University

  海運大手 APモラー・マースクは、「業務上できる限り早期の」紅海通航の再開に向けて準備を進めていると発表しながらも、「この海域の全体的なリスクは排除されていない」と警告。船舶と従業員の安全状況の再評価については「躊躇(ちゅうちょ)しない」と説明した。

  ミサイル駆逐艦ラブーンの艦長をかつて務めた国防アナリスト、ジーン・モラン氏は海運会社が米主導の有志連合による一段の取り組みを求めているとの見方を示す。

  モラン氏は「今回の手法が脅威の原因に対処しているようには見えない」と分析。「フーシ派はイエメン政府の支配が及ばない地域から活動できる。その点に対応することが求められている。より強力な対処が必要であると見受けられる状況であるにもかかわらず、われわれは恐る恐る動いているように見える」と語る。

  だが、バイデン政権はイスラム組織ハマスが10月7日にイスラエルを攻撃して始まった紛争をさらに拡大させかねない措置には消極的だ。海運会社もその懸念を共有しているのかもしれない。

脅威の性質混在

  モラン氏は無人機やミサイル、小型ボートからの攻撃という脅威の性質が混在しているとした上で、多国籍部隊に参加する全ての艦船が米と同じ能力を持つとは限らないため、対応がより困難になると述べた。

  今のところ、米国が主導し、英国やバーレーンなどが参加する今回の「プロスペリティー・ガーディアン」作戦は無期限で実施される。

  国防総省のマクガリー報道官は「この作戦にタイムラインは設けられていない」とし、「国際海運への脅威がこれらの航路でなくなるまで、われわれは必要な限り、この地域でパートナーと共に毅然(きぜん)とした態度で臨んでいく」と答えた。

原題: Pentagon Tries to Reassure on Red Sea Shipping as Doubts Persist(抜粋)

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