ウクライナ復興に参加したい――。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻開始から1年を迎えるのを前に、滋賀大(滋賀県彦根市)に避難しているウクライナ人女子学生3人が21日、記者会見した。その1人、アンナ・プチェロボドバさん(22)は、3月に母国に帰ることを決断した。東部ドニプロの大学院に進学し、年内にはウクライナに残る婚約者と挙式する予定だ。
アンナさんはドニプロ国立大東洋言語学科の日本語専攻の卒業生。交流のあった滋賀大が受け入れ先になり、昨年7月に来日した。滋賀大経済学部の研究生として、滋賀県彦根市で暮らす。
日本語で会見したアンナさんは冒頭「さまざまなサポートを受け、日常生活は問題なく送れています。心から感謝を申し上げます。ウクライナに一日も早く平和が戻るよう祈っています」と述べた。
そして「日本はとても好きで、子供のころから行きたいと思っていました。しかし、今は戦後のウクライナ復興に参加したいと思っています」と帰国する考えを明かした。
寂しさと故郷復興への思い
「親しい人は今もウクライナに残っています。特に恋人と会えないので、寂しくてたまらない時もあります。今はホームシックな感じが強くなりました。早く帰りたいと思うようになりました」と、故郷から遠く離れて暮らす心情を語った。
ただ「帰るのはホームシックだけでありません」と力を込める。「ウクライナでやらなければならないことがいろいろ残っています。日本で学んだことを仕事に生かしたい。長い間、大学教員になりたいと思ってきた。ウクライナで日本語や日本文学、日本文化について教えたい。(戦後復興に)私の英語や日本語のスキルが役に立ったらうれしい」
侵攻開始からの1年を振り返ってアンナさんは「時の流れはとても不思議。とても長い長い2022年になった。たぶんウクライナ人にとって2022年は、1月1日ではなくて、2月24日から始まったのかもしれません」と指摘した。
アンナさんが戻るウクライナ東部ドニプロは、ロシアからの激しい攻撃を受けてきた都市だ。危険ではないのか――。
「いまウクライナには本当に安全な地方はないと思います。ドニプロは危ないところというイメージがあるかもしれませんが、(首都の)キーウも(西部の)リビウも同じだと思います。ウクライナに帰るなら、自分の安全を考えなければなりません。何とかいけそうだと思います。避難する前にも暮らせたので、ちゃんと(政府の)指示に従って、自分の安全を守ることができると思います」。アンナさんはそう答えた。
戦争が終わったら、また日本へ
記者会見後、アンナさんは毎日新聞の取材に「また日本に来ると思います。彼氏と一緒に来る。でも、それは戦争が終わってから」と話した。
「実は彼氏は婚約者なんです。今年結婚します。知り合って4年。いつの間にか付き合って、婚約者になって……。私たちの家庭をつくりたいと思います」と、ウクライナに平和を引き寄せるような大きな笑顔を見せた。
滋賀大には、ドニプロ国立大で日本語を学び卒業したカテリーナ・イグナトバさん(22)と、キーウ国立経済大を卒業したマルガリータ・ベレツィナさん(21)も避難し留学している。カテリーナさんは滋賀大大学院に今春進学、マルガリータさんは引き続き滋賀大研究生として在籍し、大学院進学を目指す。
滋賀県内には滋賀大の学生3人を含め、少なくとも14人がウクライナから避難している。【庭田学】
からの記事と詳細 ( 安全な場所などない、でも 避難のウクライナ学生が帰国を決めた理由 - 毎日新聞 )
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