日本フットボールリーグ(JFL)に所属する奈良クラブは第26節の23日、ホームで鈴鹿ポイントゲッターズと対戦し、1―1で引き分けた。J参入を目指してホーム試合での集客条件が課題となっているクラブを後押ししようと、会場のロートフィールド奈良(奈良市鴻ノ池陸上競技場)には1万4202人が来場。鈴鹿戦を含むホーム残り3試合で1万3048人を集める必要があった条件を、わずか1試合で達成した。
チームによると、JFLで過去2番目に多い来場者数。この日は午前中から大勢のファンが詰めかけ、会場の周囲に開場を待つ長蛇の列ができた。奈良クラブの浜田満社長は大勢のファンを見て「すごい……」とうなった。
奈良市の小学5年、横山元気さん(11)は奈良クラブの大ファン。「Jに上がって日本一になってほしいと思って応援にきた。見たことないくらい人がいて、びっくりした」と驚いていた。試合開始後も、混雑でなかなか会場に内に入れないファンの姿も。試合開始30分前の午後0時半に到着した京都府京田辺市の会社員、神品淳さん(40)は「ここまで混んでるとは思わなかった。奈良クラブがJリーグに入るための助けになりたい」と話し、入場できるのを待った。
周辺の道路は会場へ向かう車で渋滞。臨時のシャトルバスも車列に巻き込まれるなどした。
試合はゴールキーパーのアルナウが再三の好セーブを見せたが、33分に鈴鹿の平出涼に決められ先制を許した。しかし59分、ゴール前の混戦からのこぼれ球を片岡爽が蹴り込み、奈良クラブが同点に追いついた。選手は勝利をつかめず悔しそうな表情を見せたが、悲願に向けて気迫のこもったプレーを見せるたび、会場のあちこちから大きな拍手が起きた。ゴールを決めた片岡は「かつてない数の応援のおかげ。JFL優勝したいので、残りの試合は勝ちきりたい」と気を引き締めた。
片岡の高校時代の後輩だという兵庫県明石市の会社員、西尾俊哉さん(28)は「ナイスゴールで、よく追いついてくれた。これからも奈良を盛り上げていってほしい」とエール。東大阪市のパート、松山由佳さん(39)は「これだけの人が奈良クラブのために集まってくれて素直にうれしい。今後も大勢が応援に来てくれたら」と笑顔を見せた。
鈴鹿にはサッカー界のレジェンドで元日本代表の三浦知良選手(55)も所属。「サッカー界のレジェンド」は76分からピッチに立ち、精力的な動きでファンをわかせた。
試合後、スペイン出身のフリアン・マリン・バサロ監督は日本語で「きょうはファンがMVPです」と語り、スタンドに向かい感謝。キャプテンの小谷裕喜が「僕たちと皆さんが一つ一つ小さな努力を積み重ねて成長していけば、こういうことが起こせるんだと感動した。僕らはもっともっと熱い試合ができるはず。また、ぜひ一緒に戦ってください」と話すと、大きな拍手が起きた。
Jリーグに入るには、JFL全体で4位、奈良クラブも認定されている「百年構想クラブ」内で上位2位に入る必要がある。奈良クラブは26節を終えて13勝10分3敗の勝ち点49で3位。百年構想クラブ内でも2位にも付けており、現状は成績面も参入の条件を満たしている。
今シーズンは残り4試合。ホームでは11月5日午後1時からヴィアティン三重と、同13日午後1時からFC神楽しまねと、いずれもロートフィールド奈良で戦う。【川畑岳志、林みづき】
からの記事と詳細 ( 奈良クラブ、ホーム1試合で集客条件クリア ファンがJ参入へ後押し - 毎日新聞 - 毎日新聞 )
https://ift.tt/tBTWaoi
No comments:
Post a Comment