
県内で、水上バイクの安全な運転について関心が高まっている。今夏以降、死亡事故や危険な運転によるトラブルが相次いだためだ。水上バイクの走行に対し、県条例などで規制を強化するべきだという議論がある一方で、マリンレジャー人気の高まりから、「厳しく取り締まり、排除するばかりでは解決にならない。安全に楽しめる環境作りも必要ではないか」という声も上がる。(迫直往)
水上バイクを巡っては、9月15日、淡路市岩屋の岸壁の消波ブロックに1台が衝突。乗っていた男女3人が死亡する事故が起きた。直前に、「すごい勢いで走っていた」という目撃情報が県警に寄せられていた。
また、明石市の林崎松江海岸周辺では7、8月、水上バイクが海水浴客の近くを走行するトラブルがあり、市は危険行為として容疑者不詳のまま殺人未遂容疑で刑事告発した。市は、防犯カメラの台数を増やして監視する方針も示している。
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水上バイクは、新型コロナウイルスの影響で、屋外で「密」を気にせずに楽しめるレジャーとして人気が高まっている。一般財団法人「日本海洋レジャー安全・振興協会」(横浜市)によると、運転に必要な特殊小型船舶操縦士免許の試験合格者は2019年度の1万7637人から、20年度は2万2346人に増えた。
利用可能エリアは岸から2カイリ(約3・7キロ)の水域。無免許や酒酔い状態での運転、危険な運転は法律で禁止され、ライフジャケット着用義務がある。県は、法律とは別に水難事故防止条例で県内の海水浴場の遊泳区域に乗り入れることを禁止。海水浴客らに危険を及ぼした場合は罰金も定める。県は明石市でのトラブルを受け、現状で20万円以下とされる罰金額を引き上げる条例改正を検討している。
危険な運転が問題化する背景には流通事情もありそうだ。年間8300台のうち5700台が中古で売買され、正規販売店が客に安全運転のポイントを伝えても、中古品購入者には届かない実情があるという。マリンスポーツ団体の関係者は「すべての水上バイク利用者が『シーマンシップ』(海や船舶に関わる心構え)を持っているとは言えない状況では」と心配する。
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他方で、水上バイクの健全な利用を促す施設もある。大阪府貝塚市の二色の浜公園では、騒音が出るような不正改造などをしていないマシンに認証ステッカーを交付。海上に専用エリアを設け、海上保安庁が指定する海上安全指導員の資格を持つスタッフが利用者を指導する。施設を管理するマリンスポーツ財団(東京都)は「以前は騒音やナンパ行為などに対する苦情も多かったが、今ではほとんどなくなった」とする。
水上バイクの安全について啓発に取り組むパーソナルウォータークラフト安全協会(静岡県)の竹長潤会長(61)は「規制を強化するだけではなく、ルールを守れば楽しく利用できる場所を設ける必要もある。地域の事情に合わせ、ルールを作って周知することが重要だろう」と話す。
県が初会合
県は9日、水上バイクの危険な運転についての対策検討会議の初会合を県庁で開いた。
海上保安庁や民間のマリンスポーツ団体の関係者らが出席。県の水難事故防止条例で定める危険走行の罰金引き上げや酒に酔った状態での運転に対する規制強化の必要性、運転ルールの周知徹底方法などについて議論したという。
斎藤知事は「水上バイクは、安全に楽しめば、すばらしいレジャーだ。完全に排除するのではなく、県でモデルケースを作って規制や取り組みを国に要望することも重要だ」と話した。
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