
スマートフォンでネットサーフィンをしていると、政党や政治家のバナー広告が現れる――。かつてはあまり見かけなかったネット広告に違和感を感じる人も多いようだが、政治の世界でもネット空間は無視できないアピールの場となっている。19日に公示される衆院選の期間中もネット広告は増える見通しだという。だが、公職選挙法などが定める厳しい規定をどうやってクリアするのか。その舞台裏を取材した。【土江洋範】
公選法の厳しい制約、何が違反で何がセーフ?
現在は候補者の陣営がSNS(ネット交流サービス)やブログで日々の活動をアピールするのが当たり前になっており、ネット活用は選挙の勝敗を分ける重要なツールになっている。ネット広告もその手段のひとつだ。 広告はニュースサイトなどに表示され、政治家の名前や顔写真のほか、「この国に未来を」などとキャッチフレーズを盛り込んだものが一般的だ。クリックやタップをすると、候補者や政策を紹介するウェブページなどに飛ぶようになっている。だが、こうしたネット広告も19日の衆院選公示後は、公選法の厳しい制約を受けることになる。 ネット選挙が解禁された2013年の公選法改正で、広告についてのルールも定められた。まず、「清き一票を」などと投票を呼びかける文言を盛り込んではいけない。さらに、広告を出せるのは政党だけで、候補者個人は認められていない(町村長選など一部選挙では政党も禁止)。だから、選挙前に個人の知名度アップのための広告を打つ陣営が多いというわけだ。今年7月の東京都議選でフェイスブックに広告を出した2人の候補者が「公選法に違反している」と指摘されたが、これは選挙期間中に個人名で行ったとされるからだ。
ただし、「抜け道」も残っている。公選法改正の時に与野党が決めたガイドラインによると、政党には党本部だけでなく支部も含まれ、「〇〇党△△支部」という広告を出してよい。そこに支部長の氏名や顔写真を添えても直ちに違反とは言えないとされ、文字や写真のサイズを党名・支部名より小さくして控えめに載せた広告の例が示されている。つまり、候補者が支部長を務めていれば、事実上、個人の宣伝ができるということだ。これに対しては、無所属候補との不公平さを指摘する声もある。 選挙前の個人であれ選挙中の支部長であれ、自分の選挙区外の有権者に広告を配信しても、別の選挙区にポスターを張るようなもので意味がない。多くの人に届く分、無関係な人も含まれるというネット広告の無駄をなくしたのが、各陣営からの依頼で広告を代行している会社「イチニ」(東京都港区)だ。
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