「アップからいい感覚があって」
中野誠也が帰ってきた。右ヒザを痛めて5月16日の第14節ファジアーノ岡山戦を最後に欠場していて、およそ3カ月ぶりのプレーになった。「やっぱりピッチは格別ですね」と飛び出していくと、いきなり大仕事をやってのけた。 まずはゴールだ。0-1の状況で71分にピッチに送り込まれて最初のプレーだった。右サイドで柴山昌也が相手から強奪、一気にショートカウンターにかかるところだった。「ファーストプレーで鮮明に覚えていないんですけど」と断ってこのシーンを振り返り始めたのだが、しっかりと解説できるところに視野の広さがうかがえる。 「シバ(柴山)が持っていた時点で右に流れようとしていて、右サイドバックの馬渡が上がってくるので止まったんです。シバが(中央にいた)小島に出したと思うんですけど自分も反応してしまって、でもいい形で置けたので打ちました」 これぞ見事な判断と連係だろう。柴山と馬渡のアクションを見て、中野が「止まった」ことで、ちょうどペナルティーエリア内の右寄りで相手の間に入って捕まらない場所に立つことができたのだ。柴山のキックフェイントからのパスを受けたあとのトラップとフィニッシュの技術の高さはもちろんで、シュートがGK小島亨介の伸ばした手をかすめて突き刺さったが、それを引き出す判断の勝利だった。 その判断は、このゲームの本当のクライマックスでも生きた。アディショナルタイム6分の表示のうち、4分のタイミングで新潟に勝ち越しゴールを奪われた。敗色濃厚。でも、あきらめる理由はなかった。 試合再開のキックオフから前線にロングボールが飛んでくる。西村慧祐がヘッドでつないでゴール前へ。 「自分でもがむしゃらにやっていたので、何が何でも2点目を取られたあとから同点を意識していました。キックオフの時点で西村に上がれと言っていたので、自分のところに来たら絶対勝つという気持ちでヘディングしたら、西村が決めてくれました」 相手の前にするりと体を入れてから、ボールの勢いを吸収するように全身を使って優しくヘッドで落とした。これを西村が「迷わず振りました」ときれいなインステップボレーで突き刺して、起死回生の同点ゴールが生まれた。 「西村を意識してというか、イバや山田もいたので、そこに落とすという気持ちをを持って落としました」 がむしゃらだと言いながら、中野はやはりしっかりと見ている。 同時に、自身が決めたシュートの瞬間には「アップからいい感覚があって素直に振れていたので、うまく当てられたと思います」と感性も大事にしている。磐田時代の昨季もこのデンカビッグスワンスタジアムで2ゴールを挙げていて、そんな縁起の良さも味方したかもしれない。 霜田正浩監督からはサイドのポジションを与えられていて、「クロスを上げることも求められますが、逆からのボールに反応して中でゴールに直結すること」が最大のミッションだ。復帰戦でそれを実行してみせたのはさすが。霜田監督も「ケガ人の復帰は私たちにとっては補強」と喜んだ。 確かな判断と技術と感覚とを併せ持つストライカー。逆襲の大宮に、頼もしい男が帰ってきた。 写真◎J.LEAGUE
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