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Wednesday, April 29, 2020

雨の日の安全な走り方とは? ウエットな路面でバイクを傾けるのは本当に危険なのか?【柏秀樹持論・第6回】(webオートバイ) | 自動車情報サイト【新車・中古車】 - carview!

ライディングスクールの主宰を10年以上務めるモーターサイクル・ジャーナリスト柏 秀樹 氏が持論を展開する連載企画。今回のテーマは「雨の日の深いバンクは危険なのか」です。雨天のツーリングが苦手な方、ぜひ最後までご覧ください。
文:柏 秀樹

雨の日の運転が苦手な人は、晴れの日にも不安を抱えているのではないか?
「雨の日にバイクを深く傾斜させたらスリップしやすいの?」という質問が寄せられた。

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答えは、車体の傾斜が深くても大丈夫なこと、浅くても危ないこと、その両方がある。
要は車体の傾斜を自由に選択でき、スロットルやハンドル操作などを繊細に対応できるか、ということ。であれば、天気が良くても雨でも安全快適ってことだ。

そのために何をやれば良いのか、を提案していこう。

例えば制限速度40km/hの普段走っているカーブのちょうど真ん中を維持して走る。雨でも制限速度ぴったりの無理のない速度40km/hとする。車体はそこそこ傾斜しているけれど特に深いバンク状態ではなく、フォームをリーンウィズにして走る。ここまでは、うまくできているとしよう。

では、同じことをリーンインのフォームでできるだろうか。

次にリーンアウトにしてできるだろうか。さらに、ハングオフ(ハングオンともいう)で、やれるだろうか?

いずれのフォームでも、ラインや速度が一定ではない場合はコントロールできていないってこと。余計な操作をしている自覚を持ちたい。

4つのライディング・フォーム「リーンウィズ」「リーンイン」「リーンアウト」「ハングオフ(ハングオン)」
体と車体の傾斜度合いが同じ状態をリーンウィズ、車体傾斜より上体がイン側になることをリーンイン。車体が傾斜して上体が起きているをリーンアウトという。

(1) リーンウィズは体と車体の傾斜度合いが同じ状態。
 
(2) リーンインは車体傾斜より上体がイン側になる状態。
 
(3) リーンアウトは車体が傾斜して上体が起きている状態。
 
(4) ハングオフ(ハングオン)は上体と腰が傾斜した車体よりも大きく内側にある状態。

誰が見ても確かにそうなっているなら、それぞれのフォームができているってことなのだ。

でも、イチバン簡単と思っているリーンウィズでさえも体が外に逃げてリーンアウトになっていたり、イン側に寄っていたり。リーンインをやってもまったく上体がイン側に寄っていなかったり。本当に4つのフォームがちゃんとできない例が多い。

4フォームができない原因を解消すると、頑張って飛ばすより賢く速く上手くなる
思うように4つのフォームができない理由は簡単。緊張して体が硬くなっているから。

緊張しているつもりなどなくても、知らないうちにハンドルグリップをギューッと握り、息が止まり、肩やヒジさらには手首まで硬くなっているのがわからない次元に陥っているのが大半だ。

自分の状態を把握できていないから危険でもある。

無理な走りだけが危険ではなく、無理していない状態でも今走っている速度で4つのフォームが自在にできるぐらいでないと安全マージンがない証拠。つまり危険モードに近いかすでに危険モードってこと。

そもそも緊張しない速度なら誰でも道のど真ん中を維持して走れるはず。自分にとって無理かどうかの目安が「道の真ん中維持」と思いたい。

センターラインやガードレールによることはそのままコントロールできてないことだから、無理する必要はない。ハンドル操作とアクセル操作と必要に応じてブレーキ操作も加えてラインと速度のムラを瞬時に補正できる。

ほんのちょっとスピードを落としてあげれば、高い精度となり再現性が上がる。簡単と思える次元の速度でいいのに頑張って飛ばす方が上手くなると信じ込むのと同じ。

これでは大怪我しても気がつかないだろう。野球や卓球でいえば、むやみやたらに全力で素振りするようなもの。ちゃんとしたアプローチでフォームをじっくり組み上げていくことが肝要。

ガムシャラに頑張っても無理無駄ばかり多くて、結局は上達しないどころか怪我までしてしまう。安全快適と上達のキモは、野球も卓球も他のスポーツもバイクも同じなのだ。

リラックス状態での運転を実現するための呼吸法と、フローティンググリップ
4つのフォームがちゃんとできなくても、絶対に欠かせないことがある。それは呼吸と脱力管理の連携だ。脳は酸素がちゃんと行き届いてナンボ。

なので「10秒マインドフルネス」という呼吸法を意識したい。3秒で鼻から息を吸って、7秒かけて息をゆっくり吐き切る。

この呼吸と連動させて3秒で息を吸うときにハンドルをガチガチに握る。両肩を大きくあげながら。息を吐くときにゆっくりと両肩を落としながら脱力しつつグリップを緩めていく。

手のひらがグリップからほんの少し浮いているかなという状態:FGこと「フローティンググリップ」を5分か5kmに一回励行する。

雨でも晴れでも常にこれができる速度でこそ安全な移動であり、本当の練習であり、楽しいツーリングの源になるという基本の流れを忘れないようにしよう。

タイムや順位など人と競うスピードを求めるもっと手前、そして中級・上級になっても常にチェックし続けなければならない最重要ポイントが、これだ。

速度を高めるより、変幻自在のフォームで「余裕度を高める」ことを優先したい
そんなリラックス状態であれば晴れでも雨でもカーブの途中でリーンウィズからリーンインにしたり、リーンアウトにできるし、リーンアウトからハングオフに持ち込むことさえ疲れずに、むしろ楽しくできる。

ひとつのカーブでフォームを自由に変えられる余裕があれば、いきなり転倒することはない。4つのフォームが自在にできるって状態では、ハンドルグリップを握る手は緩やかにできている。

だから上体が動きやすくなっている。その環境を作るのは自分次第ってこと。その環境作りが自分に余裕があるかどうかの目安にもなるってことだ。

物理的なお話を少し加えよう。クルマのタイヤと異なってバイクのタイヤは断面形状が丸い。ということは直立付近も深い傾斜時のラウンド部分も接地面積は大差がない。

タイヤによって、深いバンク状態の方がタイヤのゴム(コンパウンド)が柔らかく、しかも十分な接地面積を確保しているものもあるが、いずれにしても極端なバンクでなければ車体の傾斜=ハイリスクとは限らない。

リーンウィズで世界中の道を走れるが、それだけが絶対的に安全とは限らない
例えば「コーナリングはリーンウイズだけでいいんだ!」と決めても構わないが4つのフォームが自在にできるかどうかを確認しないまま乗り続けるのは、熱いお湯の温度を確認しないでいきなり飲む行為と本質的に同じ。

コーナリングでハングオフをやるのは危険だと頭から決めつけるのも危ない。

頭も腰も含めて上体がイン側にあるということは、その分だけ車体は浅い傾斜で済むわけだから、ハングオフ=危険とはならない。

その逆にリーンアウトのまま走って車体の傾斜角が大きくてもハンドル保持、スロットル操作、前後輪のブレーキ入力などが繊細にできれば、いきなりタイヤが滑ることもない。

世界中の道はすべてリーンウィズで走れる。これは事実だ。しかし、リーンウイズだけでは危険度が増す。バイクは走るほどに体が固まりやすいという実に面倒で繊細な乗り物だからだ。

路面からくる振動。バイクが生み出す振動。冷たい風やヘルメットの重さなどを受け止める体はどうしても力が入ったままになりやすい。だからこそ、体が固まらないように意識しコーナリング中でも積極的に前後左右に体をしなやかに動かせてこそ脳と体は活性化し、バランス補正や周囲への反応速度が確保できると考えたい。

ずっと体を動かさない乗り方は単純に「地蔵乗り」となる。石のように固まる乗り方は事故りやすく、事故でのダメージも大きくなりやすい。

4つのフォームなんか無視してリーンウィズのワンフォームでいいんだ、という考えでは、早く疲れるようになり、瞬時の反応も遅れる。

また、「私は飛ばさないから大丈夫」という考えも、正しいとは言えない。動けないライダーはゆっくり走っていてもリスクは小さくない。疲れも早くなり、意識も早めに覚低状態に陥りやすいからだ。

【まとめ】たしかな操作技術を持ち、正確な状況判断を行なえれば、乗り方による違いは誤差に過ぎない
結論:雨の日の走行でもしなやかに動ける乗り方なら、リーンアウトで車体がより深く傾斜した状態で走っても危険性が増すわけではない。

もちろんハングオフにして車体をあまり傾斜させない走りも余裕でこなせればなお良い。

コーナーの途中でフォームをサクサク変えてもラインと速度が一定にできるなら、安全マージンはたくさんある証拠。ハンドルを持つ手がゆるゆるで手足などが緊張せず繊細に機能し、集中力が維持できている証明でもある。

今回は、転ばないライダーになるために4つのフォームの自在性とフローティンググリップの重要性を述べた。これがちゃんとできると、さらに効果的な練習方法がトッピングできる。

次回はもっと安全、もっと自由に曲がるための「4つのアクション」について説明しよう。

文:柏 秀樹

柏 秀樹 プロフィール
大学院生(商学研究課博士課程)の時代に、作家片岡義男氏とバイクサウンドを収録した「W1ツーリング~風を切り裂きバイクは走る~」を共同製作。大学院修了後にフリーのジャーナリストとして独立。以降、ダカールラリーを始めとする世界中のラリーを楽しみながら、バイク専門誌の執筆活動や全国各地でトークショー出演などを行っている。

バイク遍歴60台以上、総走行距離100万キロ以上、そして日本中の主要ワインディングロード、林道のほか世界の道を走ってきた経験をもとに2003年に始めたライディング・アート・スクールをリニューアルして2009年から新たにKRSこと柏 秀樹ライディング・スクールを開校。バイクやクルマの安全と楽しさを一人でも多くの人に熱く伝えることを生き甲斐にしている。

柏秀樹持論

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April 29, 2020 at 03:30PM
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