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Friday, June 7, 2024

<社説>那須雪崩判決 安全な部活動の教訓に:北海道新聞デジタル - 北海道新聞

 栃木県那須町で雪山の登山講習会に参加した高校生ら8人が死亡した雪崩事故で、業務上過失致死傷罪に問われた引率教諭ら3人に、それぞれ禁錮2年の判決が言い渡された。

 事故は2017年3月、学校教育の一環である部活動中に起きた。裁判では教諭の危機管理のあり方や責任が問われ、宇都宮地裁は「相当に重い不注意による人災」と厳しく指摘した。

 実刑判決は異例とされる。結果の重大性を考慮したのだろう。教育関係者は判決を教訓とし、部活動の安全対策に一層の注意を払う必要がある。

 引率教諭らが雪崩を予見できたかどうかや、安全対策が十分だったかどうかが争点だった。

 現場周辺は植生がまばらな急斜面で、新雪が少なくとも30センチ積もり雪崩注意報も出ていた。

 判決はこうした状況と3人の積雪期の登山経験を踏まえ、「雪崩事故が起きる危険性を容易に予見できた」とした。

 その上で、安全な訓練区域の設定やその周知などの注意義務を怠り「漫然と講習を行った」として、過失責任を認定した。

 この講習会は長年続けられており、本来の目的は雪山での事故を防ぐ技術を身につけることにあったとされる。

 スポーツ庁は当時から高校生以下の冬山登山を原則禁止とし、例外的に行う場合は都道府県の審査会で登山計画のチェックを受けるよう求めていた。

 しかし主催の栃木県高校体育連盟は、慣例的にこの審査を経ずに開催していた。

 安全の確保は学校教育の大前提だ。冬山といった厳しい環境ではとりわけ、生徒の命を預かる自覚と慎重さが求められる。

 そうした危機管理意識が、組織にも現場の教諭にも欠如していたと言わざるを得ない。

 こうした点も踏まえた上での実刑の判断だったのだろう。

 部活動中の事故は後を絶たない。道内でも昨年、高校の女子硬式野球部員がバッティングケージの下敷きになり意識不明となった。監督が業務上過失致傷容疑で書類送検されている。

 事故の形態はさまざまだ。指導者は細心の注意が欠かせない。日本スポーツ振興センターは、実際の事故から分析した競技ごとの安全対策をサイトで公開している。参考になろう。

 今回の判決を受け、指導者が部活動への関与に消極的になるのではとの懸念がある。

 部活動は生徒の心身の成長を促す大切な場だ。国や自治体は安全確保の取り組みを十分に支え、現場が萎縮しないよう配慮してほしい。

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