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Friday, March 8, 2024

中国が禁輸、宮城の水産業者「安全な水産物であることは間違いないのに」…販路拡大目指す - 読売新聞オンライン

 「安全な水産物であることは間違いないのに、本当に悔しい」。ホタテやカキを扱う宮城県石巻市の水産加工会社「ヤマナカ」の千葉賢也社長(33)は言う。

 ヤマナカは、2023年8月に東京電力の福島第一原子力発電所事故からの処理水放出が始まるのと前後し、香港の取引先から全ての取引の停止を通告された。放出開始後、日本産水産物の輸入を停止した中国政府の方針が影響したとみられる。タイなどへの輸出拡大を目指すが、千葉社長は「影響は10年以上続くことも覚悟している」と話す。

 昨年の日本の水産物の輸出額は22年比0・7%増の3901億円で、伸び率は前年(28・5%)から大幅に鈍化した。米国などへの輸出が伸びる一方、昨年9月以降に中国本土向けが激減したためだ。中国への輸出が多かった水産物への影響が広がる。

 岩手県漁連によると、昨年11~12月に県内で水揚げされたアワビの平均単価(10キロ・グラムあたり)は8万8547円で、前年同期比35・3%も下落した。 重茂おもえ 漁協(宮古市)の山崎義広組合長(76)は「アワビは漁師の冬の収入源。生活に響いている」と話す。

 業者の多くは、中国に代わる販路開拓を急いでいる。大船渡市でアワビの陸上養殖を手がける「 元正栄げんしょうえい  北日本水産」は主に香港に輸出してきたが、シンガポールなど東南アジアでの拡販に乗り出した。

  濾過ろか した清潔な海水を使い、人でも食べられる自家製の餌で育てた品質が売りで、現地の仲卸業者などにサンプルの出荷を始めた。営業部長の古川翔太さん(28)は「養殖の過程を伝えれば、安全性を理解してもらえる。いつかは欧米にも展開できれば」と話す。

 処理水の放出は、国際原子力機関(IAEA)が「国際的な安全基準に合致する」と評価している。福島沖の水質検査でも、基準値を上回る濃度は検出されていない。政府は科学的根拠に基づかない禁輸措置の撤回を求めているが、中国側に応じる気配はない。

 影響が長期化する中、原発事故に伴う東電の賠償額も膨らんでいる。東電は処理水による風評被害の賠償額は370億円程度と見込んでおり、5日までに約40件、約44億円を支払った。

 地元・福島県の水産物は放出開始前から輸出が少なかった。沿岸3漁協の水揚げも震災前の4分の1程度にしか戻っていない。国内での風評被害が復興途上にある水産業の足を引っ張る懸念もあったが、流通大手による消費拡大キャンペーンの効果もあり、取引価格に大きな影響はないという。いわき市漁協の江川章組合長(77)は「『常磐もの』は好調で、全国の消費者の理解に感謝している」と話す。

 しかし、放出の過程ではトラブルが相次いでいる。昨年10月には作業員に放射性物質を含む水がかかり、今年2月には放射性物質を含む水が屋外に漏れ出した。

 東電のミスが繰り返されれば、福島の漁業を支える機運もしぼみかねず、江川組合長は「東電がヒューマンエラーを繰り返していることに怒りを覚える。トップから現場まで、我々と同じ緊張感を持ってもらいたい」と訴える。

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