能登半島地震を受け、石川県や富山県などでは避難所の設置が進んでいます。災害とジェンダーに詳しい静岡大の池田恵子教授は、「若手を含め男女ともに運営に参加して、安全な環境を整えてほしい」と話しています。
――男女ともに協力することが大切なのですね。
過去の災害では、避難所の運営を担うメンバーは、どうしても男性が多くなりがちでした。
自治会などの地域自治組織では、普段から、男性が責任ある立場を担うのが「当たり前」なんです。自然と男性は運営、女性は炊き出し、と役割が固定されることが多かった。
ただ、運営に女性が加わらないと、授乳専用スペースや男女別の更衣室の設置といったことが遅れがちになります。
2011年の東日本大震災での聞き取り調査では、「わがままだと思われ避難所にいられなくなるのでは」と、女性が「更衣室を作ってほしい」と言い出せなかった例がありました。女性が声を上げられないと、女性がケアしていることが多い高齢者や子どもの困りごとも後回しになりがちです。
「就寝中に体を触られた」「着替えをのぞかれた」「物資を支援する代わりに性行為を求められた」といった証言もありました。
そうした背景から、今回の地震では報道で「女性はできるだけ1人で出歩かないで」などと注意喚起がされていますが、それだけでは限界があります。
――なぜでしょう。
避難している方々は、ただでさえ家の片付けなどで忙しい。一緒に行動をしてくれる相手をいつも探せるとは限りません。
被害に遭いそうな人に自衛を求めるのではなく、お互いに声をかけ合い相談し合えるようにし、避難所を安全な場所にする環境づくりが大切です。
――具体的にはどうしたら良いでしょう。
内閣府は20年に、「災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン~」を作成しています。
例えば「女性トイレと男性トイレは離れた場所にある」「食事作り・片付け、掃除等の負担が、特定の性別や立場の人に偏っていない」「男女一緒に行う防犯体制がある」といった具体的な項目をチェックできるシートを、ネット上で公開しています。(https://www.gender.go.jp/policy/saigai/fukkou/guideline.html
)
ぜひこれを活用してほしい。
ガイドラインでは「人口の半分は女性であり、女性と男性が災害から受ける影響の違いなどに十分に配慮された女性の視点からの災害対応が行われることが、防災や減災、災害に強い社会の実現にとって必須」と定めています。
何かを相談したいとき、女性同士の方が話しやすい事柄もあります。運営側や責任者に女性がいれば、相談のハードルが下がることもあるでしょう。
現状では、全国の自治体から被災地に応援に入る職員も、子育てや介護で泊まりがけの出張が難しいなどの理由で、男性が多くなりがちです。ぜひ積極的により多くの女性職員が入っていただけたらいいなと思います。
――女性だけでなく、個別に様々なニーズを満たすことが求められます。
男性ならではの必要な支援もあります。
避難所などで責任者となり、自分の家の再建よりも地域の役割を優先せざるを得ないこともある。被災後に飲酒量が増える。仮設住宅で孤独死する――。
そういった状況に陥りやすいのは、男性の方です。
さらに、障害がある人や外国籍の人、妊婦など、個別なニーズへのきめ細かな対応も不可欠です。マイノリティーで声が上げづらい人たちには、積極的に声をかけて具体的なニーズをすくい上げることが求められます。
共同生活をするからこそ、性別や状況によって必要な物資や生活環境が違うことが明確になります。
余震が続き、人手の余裕もない中で、避難生活の環境整備は本当に大変なことです。若手も含めて男女が担い手となれる避難所の態勢が必要ではないでしょうか。(聞き手・大坪実佳子)
からの記事と詳細 ( 「女性は1人で出歩かないで」への違和感 避難所、安全な環境作りを:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル )
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