
シリーズ第1作から22年、最後の第3作から18年を経て2021年暮れに日本公開となった映画「マトリックス レザレクションズ」は、サイバー空間と現実世界をグロテスクに対比させた描写が健在だ。
それより少し前に公開された「フリー・ガイ」では、AI(人工知能)によって自律的に動き始めたオンラインゲームのモブキャラクター(名前の与えられていない群衆)と現実世界の人間の関わり方が印象的だった。
電脳空間、仮想空間と呼ばれる世界が広がり、利便性の向上とともにサイバー攻撃のリスクも多様化し、深刻化している。
かつては、映画のエンドロールとともに現実世界での危機感は消えた。
今は、サイバー空間の出来事が、現実世界に脅威を与えるようになっている。
サイバー攻撃によるリアルな物理的被害が相次いでいるからだ。
岸田文雄政権は22年度政府予算案の「目玉」の一つとして、サイバーセキュリティーの強化を掲げる。
サイバー空間を通じた現実世界の防御に対する警戒は強まっている。その際、見落とされがちなのが、現実世界でのリアルな防御のあり方だ。
重要なインフラ(社会資本)や生産設備に深刻な被害を与えるサイバー攻撃は近年、多発している。
記憶に新しいのは、2021年5月に起きた米コロニアル・パイプライン社に対する、「ダークサイド」と呼ばれるグループが関わったランサムウェア攻撃だ。
サイバー空間に構築されたシステムに不正に侵入し、データを暗号化して使えなくしたうえで、データを復元する代わりに「身代金」を要求する「ランサムウェア」によって、米国の東海岸の燃料供給の約5割を占める同社の操業は、6日間にわたって停止した。
それ以前にも、08年のトルコでの石油パイプラインの爆発、10年にイランの核燃料施設で起きたウラン濃縮用遠心分離器の稼働停止、15年のウクライナでの大規模停電、17年に日本、フランス、英国で発生した自動車工場の稼働停止、19年のノルウェーでのアルミ生産工場の生産減速などが、サイバー攻撃の事例として知られる。
中には、上水道に投入される薬品の量が変更されるといった、対応を間違えば多くの人命を奪いかねない事案もあったという。
一連の事例を分析したトレンドマイクロ社の石原陽平・セキュリティエバンジェリストは「新しい技術の登場で、それまでのシステムの安全性が損なわれる『
モノとインターネットをつなぐ「IoT」が広がることで、サイバー攻撃の影響は、インターネットとつながった自動車、産業用ロボットや製造管理システムがネットワークで接続された「スマート工場」などにも及ぶことになり、国の経済や人々の日常生活に重大なリスクを与える。
オンライン上の情報のやりとりを暗号化して防御していても、今のコンピューターでは暗号解読に1000年かかるような組み合わせを、量子コンピューターなら2日程度で済んでしまうという。
からの記事と詳細 ( サイバーの安全保障はリアルな防御から : まつりごと点描 : Webコラム - 読売新聞 )
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